福田結晶技術研究所 電話番号 022-303-0170

ScAlMgO4(SAM)単結晶

ScAlMgO4(SAM)単結晶 φ4インチウエハ
ScAlMgO4 (SAM) 単結晶 φ4″ φ2″ ウエハ

 ScAlMgO4(SAM)単結晶 は、米国ベル研究所で1995年、高輝度のGaN LED用結晶基板として開発されましたが、結晶作製が非常に難しく、研究が進展しませんでした。当社は、チョクラルスキー法(回転引上げ法)により4″φの作製に成功しました。 2″φのSANウエハ量産技術、 6″φ大口径技術の確立にも取り組んでいます。
 SAMウエハは、LED、LD、FETなどのGaNデバイスの基板として有望です。SAMウエハ上に製造されるGaN自立基板は、自動車用途のGaNパワーデバイス用途に期待されています。
 2″φ無転位結晶作成に成功し、格子整合するInGaNやAlGaInNの低転位テンプレートの作成など新しい展開へと大きな注目を浴びています。

特徴

  • GaNと格子不整合率小(整合率 1.8%)
  • InGaN、AlGaInNと格子整合
  • 劈開(へきかい)によって基板作製が可能
  • MOVPE、HVPE法によりGaN成膜成長が可能

GaNと格子不整合率小

ScAlMgO4とサファイアの比較

劈開性

SAM 単結晶量産技術

3″φインゴット

3″φインゴット
3″φインゴット

3φScAlMgO4インゴット

4”φScAlMgO4単結晶製造装置
ScAlMgO4 ウエハ

無転位ScAlMgO4

 高品質化、高歩留化に向けて種結晶から、2″φ結晶作成条件までの見直しと改善を図り、2″φの無転位SAM単結晶作成に成功した。作成結晶から直径40 mmに外周研削してc面基板を切り出したウエハのX線トポグラフィ(XRT)の結果からほぼ全面無転位化出来ることが判った。SAMがSiと同様に無転位のウエハが出来ることは、世界でも初めての発見である。半導体関連では、Si以外にはInドープGaAs、SiドープGaAsの例はあるが、4元素からなる多成分系の結晶では過去に例がない。

ウエハ
2″φSAM 無転位単結晶


X線トポグラフィ(1)
X線ロッキングカーブ(1)

利用が期待される用途

パワーデバイス向けGaN用の基板
(東北大学松岡教授の研究成果)


劈開を利用したGaN自立基板作製(2)(3)

InGaN系のRGBのLED向けInGaNテンプレートの基板
(京都大学川上教授の研究成果)



サファイア基板上と比較してSAM基板上では
赤色発光(約625nm)で約40倍の室温発光強度(4)

光デバイス用途の広がりによる期待

解説

 ScAlMgO4 (SAM)は,Sc2O3, Al2O3, MgOの3成分系の結晶材料である。SAM粉末は1989年N. Kimizukaにより発見(5)され、1995年AT&T Bell研により開発が開始された(6)。2004年福田等はZnO基板用にしてCZ法によるSAM単結晶作成に着手した。2010年からは福田結晶技術研究所が、C. D. Brandle博士や米国最大手LEDメーカーのPhilips LumiLeds社と共に開発を進めてきた 。その後、東北大学松岡教授とパナソニック(株)と、NEDOとの開発委託により研究を行った。

 SAMは RFe2O4型結晶の一つである。RFe2O4はRO6の八面体層とFeO5の両錐多面体層がc軸方向に積層して構成された結晶構造を持つ。SAMは、空間群R3 ̅mで格子定数が常温(303K)でa = 0.3249(1) nm,  c = 2.5142(8) nm(3)であり,ScO6と(Mg/Al)O5の多面体の層が積層した構造となっている。関連する結晶のa軸の格子定数の中で、SAMのa軸の格子定数は、ZnO (a = 0.3253 nm)やGaN (a = 0.3190 nm)と非常に近い。エピタキシャル用基板に通常使われるAl2O3(a = 0.4758 nm)とは格子不整合がそれぞれ3.2%(ZnO),4.9%(GaN)であるのに対し,SAM基板であれば格子不整合がそれぞれ0.13% (ZnO)、1.8% (GaN)と非常に小さい。格子定数の温度依存性を確認した研究(7)によれば、a軸の線熱膨張についても、SAMの方がAl2O3よりもGaNやZnOとの相違が小さく、特にGaNとのマッチングが良い。さらに,1000℃ NH3/H2雰囲気下でも化学的に安定で,酸にも強いという特徴を持ち、GaN用基板として非常に期待されている材料である。

 また、SAM単結晶は c面に平行な劈開面を持つ。この劈開性を利用することで非常に平坦な400μm厚さのエピレディのc面基板としての供給が可能である。劈開面の結晶性は非常に良く,例えば 00018回折のロッキングカーブでFWHM=12.99 arcsecを示すなど,シリコンの完全結晶に近いような値が得られている。

参考文献

(1)白石 裕児、南都 十輝、福田 承生、家地 洋之, 第80回応用物理学会秋季学術講演会, 北海道大学, 2019/9/18-21
(2)T. Fukuda, T. Matsuoka, S. Suzuki, 10th Intern. Conf. on Polish Soc. for Crystal Growth (ICPSCG10), Zakopane, Poland, 15 Oct – 21 Oct 2016
(3) K. Ohnishi, T. Matsuoka, et al., Applied Physics Express, Volume 10, Number 10 (2017)
(4) T. Ozaki, M. Funato, Y. Kawakami, Applied Physics Express 12, 011007 (2019)
(5)  Kimizuka, N. and Mohri, T., J. Sol. St. Chem. 78, 78 (1989)
(6) E. S. Hellman, C. D. Brandle, E. H. Hartford Jr.,Mat. Res. Soc. Symp. Proc. 395, 51 (1995)
(7) R. Simura T. Fukuda, et al., Japanese Journal of Applied Physics, Volume 54, Number 7 (2015)

福田結晶技術研究所 電話番号 022-303-0170